book_01本書は、リハビリテーションエンジニアとして、長年にわたって肢体不自由のある人の道具づくりに携わってきた村上 潤氏の実践と研究の成果です。村上氏は15年にわたる膨大な椅子づくりの実践を通し、試行錯誤しながら、オリジナルのシーティング理論及び技法であるキャスパー・アプローチをまとめる仕事を続けてきました。その試みには、数多くの肢体不自由の方、その保護者や介護者、医療、教育、工学の専門家の協力がありました。その成果が本書です。キャスパー・アプローチは日本の椅子づくりの現場で積み重ねられてきた理論と技法です。欧米の理論や技法の紹介や導入も大切ですが、日本の土壌でこのような優れた理論と技法が発展してきていることを誇りにしたいと思います。巻末資料で紹介しているように、キャスパー・アプローチは現在アメリカの著名なシーティングの研究者が注目しています。また、国際学会への発表も予定されています。これまで欧米から導入されることの多かったシーティングの理論と技法を日本から世界に発信していくことが期待されます。

目次

第1章 ケース紹介

No.1 頭が前に倒れ、お尻が前にずれてしまう少年
No.2 腕が後ろに引かれてしまう少女
No.3 もたれられなかった筋ジストロフィーの少年
No.4 どんなに抑制しても倒れてしまう少女
No.5 授業中前に倒れてしまう少年
No.6 大きく側彎がある少年
No.7 寝ている姿勢でも力の入ってしまう側彎のある少年
No.8 首が据わらず低緊張な少年
No.9 嬉しいと反り返ってしまう少年
No.10 背中が丸くなり、力が抜けない少年
No.11 後ろに反りかえってしまう少年
No.12 車椅子で二つ折れになってしまう少女
No.13 食事がしやすい環境設定について
No.14 短い期間でヘッドコントロールを獲得した少女
No.15 車椅子で起き上がろうとする少女
No.16 キャスパーで生活を豊かにするお手伝い
No.17 車椅子で倒れて苦しそうなおばさん
No.18 誤嚥の改善が見られたおじいさん

第2章 キャスパー・アプローチの理論

1.目の前で起きていることを見直し、真正面から向き合う
2.痛さとストレスから起こる負の現象
3.良い姿勢とは

第3章 キャスパー・アプローチにおける不安定と安定について

1.身体を物理的に安定させる
2.骨格の安定と5つの不安定
3.キャスパー・アプローチにおけるもたれると乗せる

第4章 骨格軸にそった安定へのアプローチ

1.骨盤から頭部までの6つの部位
2.身体を背もたれに預けるために必要な「安定スペース」と「骨格軸」
3.「安定スペース」があるからこそできる、胸郭上部から頭部までの「骨格軸」
4.6つの主要部位、それぞれの安定と不安定
5.骨格安定の判断
6.キャスパー・アプローチがスタートしてからの変化

第5章 キャスパー・動きへのアプローチ

1.キャスパー的安定と引き出された動き
2.コントロールされていない動きについて
3.コントロールされていない動きの原因・要因・現象
4.骨格の不安定以外の要因
5.コントロールされていない動きへの具体的対応
6.それまでのパターンの動きと、環境に適応しようとした動きの再構築

第6章 「コントロールされた動き」と学習

1.身体の物理的な安定から始まるコントロールされた動き
2.上から下へ動ける空間を広げる
3.コントロールできている動きと、しようとしている動き

第7章 成功経験のサイクル創り

1.ワンハンドレット・ストーリーズという発想
2.生活を中心としたチームアプローチの重要性
3.特別支援学校での休み時間に気付いたこと

資料1 キャスパー・アプローチのセミナー、研究会、海外活動

1.セミナー、講習会の実績と内容
2.キャスパー・アプローチ研究会について
3.CARRE(キャレ)について
4.海外へのキャスパー・アプローチ紹介と理論化

資料2 NPOポップンクラブの活動

1.「スマイル・ファクトリー(笑顔創り工場)」構想と「ラボラトリー(研究室)」
2.NPO活動を支える「ポップン事業」と「テン・スリー・ファクトリー」

Share →
Set your Twitter account name in your settings to use the TwitterBar Section.