全く新しい発想から生まれた  姿勢保持技術
CASPER・APPROACH

 

■「痛さ」と「ストレス」と「リスク」を軽減させる

今まで、出来るだけ骨盤を起こし、立っている時と同じように座わるのが   “良い姿勢”であると 信じられてきた。 しかし、そのような考えに基づいて強制的に骨盤を垂直に矯正しようとする と、痛みやストレス、多くのリスクが発生することは、日常での継続的な姿勢を観察すると明らか である。 キャスパー·アプローチは、その痛さやストレスを最小限にする為の試行錯誤から生ま れた今までに無い全く新しい姿勢保持の考え方である。 そして、痛さとストレスを最小限にし、重力に対して力学的に身体が安定することにより、それ まででは起こらなかった様々な変化が起こることに気づいた。

 

■伝統的な脳性まひ児の姿勢ケア

古くからある脳性まひ児の姿勢ケアの基 本は、股関節、膝関節、足関節をそれぞれ 90 度に保つ「90-90-90 姿勢」であった。 この姿勢は人間工学的な「理想の姿勢」とさ れ、1980 年代にはそれを支持する論文が 多く書かれた。 しかし 1990 年代に入り、こ の姿勢は長時間保つのが困難であること、 一部の筋肉が持続的な緊張を強いられ て、代償的に変形が進む可能性もあること が、指摘されるようになった。   (Engstrom,2002/Howe  &  Oldman,  2001)

 

■欧米で発展してきた姿勢ケアのエビデンス

この「理想の姿勢」に代わるものとして注 目されたのが、北欧で開発された「機能的 な姿勢=Functional   Sitting   Position(以 下 FSP)」である。FSP では骨盤を起こして 体軸をやや前傾させることが推奨される。 2000 年代にはこの姿勢により上肢機能等 が改善するという研究が複数発表され、 FSP は最もエビデンスのある姿勢ケア技術 として世界的に注目されるようになった。 しかしこれらの研究は、上肢機能評価の ための机上課題が遂行可能な、比較的軽 度の方々を対象としており、最も姿勢ケア を必要としているはずの、高度な拘縮や変 形がある重症心身障害児者はエビデンス からは取り残されているのが現状である。

 

CASPER・APPROACH

日本では、1990 年代から 2000 年代にかけて、「キャ スパーアプローチ」と呼ばれる全く別の考え方による姿 勢保持技術が開発され、一部の重症心身障害児(者)に 導入されてきた。 キャスパーアプローチでは、欧米で 発展した 90-90-90 姿勢や FSP のように身体を正中に 矯正するのではなく、身体を頭部、胸部、骨盤などの パーツからなる物体としてとらえ、それらを力学的に安 定した位置に整えることに主眼を置く。 特に頭部の安 定を重視し、頭頸部が前後左右に倒れないよう調整す る。   重力により頭や身体が倒れたり崩れたりする不安 定をなくすことで、不必要な緊張を取り、本来の身体機 能を最大限に引き出すと考えられている。

 

キャスパーの可能性と検討課題

キャスパーアプローチを導入した多くの事例で、「緊張 が取れて表情が良くなった」「呼吸が楽そう」「側弯が改 善した」といった肯定的な感想が寄せられている。 また、この技術の有用性については、数値的な評価さ れたことがなく、そのため世界的にも主流の考え方には なっていないのが現状である。 しかし日本で、有用性の客観的な評価が始まり、重症 心身障害児(者)における姿勢ケアの意義と可能性につ いて大きな一歩となろうとしている。 キャスパーアプローチは、姿勢ケアに困難がある   重症心身障害児者の   生活を豊かにするために開発された、   日本生まれの技術である。

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